昇華の意味とは?化学や精神分析学用語?対義語は?転写プリントとの関係も!昇華の意味とは?化学の昇華や昇華法とは?心理学・精神分析学の昇華は防衛機制?昇華の類義語・対義語・英語は?昇華転写プリントはユニフォームやTシャツに使われる?昇華の使い方も例文で簡単にわかりやすく紹介!
もくじ
昇華の意味とは?

昇華は、化学・心理学・ビジネスなど、幅広いシーンで登場する言葉です。
今日は、昇華について解説していきましょう\(^o^)/
読み方は「しょうか」。
①固体(気体)が液体の状態を経ないで直接気体(固体)になる現象
②物事が一段上の状態に高められること
③社会的に認められない性的欲求などを、学問・芸術・宗教などの活動に置き換えること
化学用語の昇華は、固体が液体にならずに、直接気体に変わる現象のことです。
逆に、気体が直接固体になることも昇華と呼びます。
化学の昇華の意味が転じて、日常生活やビジネスシーンでは、物事がより高度な状態に高められることという意味で使われます。
「苦悩を作品へと昇華させた」とは、苦悩を固体、作品を気体にたとえて、苦悩している状態から芸術作品を生み出したことを表現しているのです。
心理学や精神分析学用語の昇華は、低位の欲望を高位の芸術活動などに置換することです。
社会に受け入れられない性的エネルギーなどを、社会的・精神的に価値のある活動に置き換えることで、欲求を満たす自我の防衛機制の一つになります。
化学の昇華とは?

化学用語の昇華は、固体が表面から気化して直接気体になる現象です。
その反対に、直接気体から固体になる(固化)現象も昇華と呼びます。
ほとんどの物質は温度変化により、固体↔液体↔気体の状態変化が起こります。
例えば、水(液体)を冷やすと氷(固体)になり、水(液体)を熱すると水蒸気(気体)になりますね。
しかし、中には液体を経ずに直接固体↔気体に変化(昇華)できる物質もあるのです。
例えば、ドライアイス(固体の二酸化炭素)は、水をかけると液体にはならず、煙(気体)が発生します。
他にも身近な例として、防虫剤の成分「ナフタレン/ショウノウ」や、消臭剤の成分「パラジクロロベンゼン」、消毒薬の成分「ヨウ素」も常温・常圧で昇華する物質です。
ちなみに、氷も氷点以下の温度で昇華します。
長期間冷凍庫で保存した食料が干からびて冷凍焼けすることがありますが、この現象はフリーズドライに利用されています。
昇華法とは?
混合物の分離法の一つに、昇華法があります。
ヨウ素などの昇華する物質と、砂などの昇華しない物質の混合物をゆっくり加熱すると、固体のヨウ素は昇華して気体になります。
この気体を冷却して、純粋なヨウ素の結晶(固体)を得る方法が昇華法です。
心理学・精神分析学の昇華は防衛機制?

心理学用語・精神分析学用語の昇華は、反社会的で実現不可能な性的衝動や満たされない欲求を、社会的に認められている価値ある行動に変えて実現させる防衛機制のことです。
防衛機制をわかりやすくいうと、不安やストレスを和らげようとして無意識に働く心のメカニズムです。
例えば、倫理的に好ましくない性的欲求を芸術・スポーツ・学問などの形で表現することが昇華といえます。
芸術や宗教などの文化現象もこの働きによるもので、歌手や芸術家などのアーティストには、自分のつらい経験を元に作品を生み出している方も多いですよ。
防衛機制の種類
昇華の他にも防衛機制(適応機制)はたくさんあるので、一部を紹介します\(^o^)/
全て、精神的に安定を保つための心の働きです。
- 合理化:自分に都合の良い理由をつけて正当化する
- 代償:本来のものとは違う、代わりのもので満足する
- 退行:発達段階の初期に戻り、甘えるなどの未熟な行動をする
- 知性化:論理的に説明することで強い感情に直面することを避ける
- 転移:抑圧された感情を本来の対象ではない別の対象に向ける
- 投影:自分の欲求を他者の中に見つけて不安を解消する
- 逃避:不安を感じる状況から逃げ出す
- 抑圧:認めたくない欲求を意識下に押さえる
昇華の類義語は?

ここでは、昇華の類義語を紹介していきます\(^o^)/
<固体が気体になること>
気化(きか):液体が沸騰・蒸発して気体となること
揮発(きはつ):通常の温度で液体が気体になること
蒸発(じょうはつ):液体がその表面で気化すること
<次の段階になること>
進化(しんか):事物が一層すぐれたものに発展すること
進歩(しんぽ):次第によい方、望ましい方へ進んで行くこと
成長(せいちょう):育って成熟すること
前進(ぜんしん):前へ進むこと
発達(はったつ):成長して、以前よりも大きくなること
発展(はってん):物事が、より進んだ段階に移っていくこと
飛躍(ひやく):大きく発展して活躍すること
躍進(やくしん):目覚ましい勢いで進出すること
昇華を別の言葉で言い換えると、「パワーアップ・レベルアップ」などもあります。
昇華の対義語は?

化学用語の昇華の対義語は、「凝華」と「凝固」です。
物質が液体を経ずに、気体から固体へと変化する現象。
液体や気体が固体になること。
固体から気体になることが昇華ですが、気体から固体になることも昇華です。
中国語では、気体から固体になる場合は、「凝華」が使われます。
凝固は主に液体から固体になる現象を指しますが、気体から固体になることも凝固です。
紛らわしいですが、昇華と凝華と凝固の使い分けは、以下のようになります。
昇華:固体→気体、気体→固体
凝華:気体→固体
凝固:液体→固体、気体→固体
「物事が一段上の状態に高められること」の意味の昇華の対義語は、進歩しない様子や落ちぶれる様子を表す言葉になります。
減退(げんたい):減って少なくなること
後退(こうたい):勢いが衰えたり程度が低くなったりすること
衰退(すいたい):勢いや活力が衰え弱まること
退廃(たいはい):道徳的な気風がすたれて健全な精神を失うこと
堕落(だらく):まともな道が歩めなくなって悪の道に落ちること
停滞(ていたい):物事が順調に進まないこと
低迷(ていめい):悪い状態を抜け出せずに迷うこと
転落(てんらく):急激に落ちぶれること
昇華転写プリントとは?ユニフォームやTシャツに使われる?

Tシャツやジャージ、タオルなどの染色方法に昇華転写プリントがあります。
特殊なインクを使用して、印刷物を熱で昇華させ、ポリエステル生地を染色する方法。
従来の生地の上にインクが乗っている顔料プリントとは違い、昇華転写プリントは生地の繊維を直接染めるため、剥がれずに重くなりにくいという性質があります。
野球やサッカーのユニフォームのデザインにも使われていますよ。
昇華の英語は?
英語で昇華は「sublimation(サブリメイション)」、昇華させる/昇華するは「sublimate(サブリメイト)」と言います。
「Naphthaline can be sublimed.(ナフタレンは昇華性がある。)」
「sublimate a sexual impulse into art(性衝動を芸術に昇華させる。)」
日本語の昇華は固体から気体、気体から固体への両方の変化のことを言いますが、英語では固体から気体は「sublimation」、気体から固体は「deposition」と分かれています。
昇華の使い方(例文)を簡単に紹介!

それでは、「物事が一段上の状態に高められること」の意味の昇華の使い方を例文で見ていきましょう\(^o^)/
「彼女への届かない思いを仕事で昇華する」
「彼は激しい怒りの感情を昇華して作品を生み出した」
「大勢で議論することで、アイデアが昇華してよりよいものになった」
「学校でのストレスを昇華できないので、余計に苦しい気持ちになった」
「罪悪感を昇華したくて、外国語の勉強に打ち込むことにした」
「愚痴を昇華して、本を書くことにしよう」
「苦境をネタに昇華して成功している芸人」
昇華について、最後まで読んでいただきありがとうございました!
実生活でも葛藤や欲求を昇華するようにしましょう!

